- 二重振り子とは何ですか?
- ふりこの先に、もう1本ふりこをつないだものです。1本のふりこは同じリズムで行ったり来たりしますが、2本つなぐと、ぐるんと宙返りしたり、急に向きを変えたりして、まるで生き物のように動きます。3本つないだものを三重振り子といいます。どちらも、物理の「カオス」を見せる代表的な実験装置です。
- なぜ二重振り子の動きは予測できないのですか?
- はじめの形のほんの少しのちがいが、時間とともにどんどん大きくなるからです(初期値鋭敏性)。二重振り子の動きは決まった式どおりに進んでいて、でたらめではありません。それでも、0.001°のちがいがやがて目に見える大きなちがいになるので、遠い先の動きを当てるには、はじめの形を無限に正確に知る必要があります。現実にはそれができないので「予測できない」のです。「バタフライ効果」モードで、角度が0.001°だけちがう振り子を重ねてはなすと、それを自分の目で確かめられます。
- カオスとは何ですか?
- きまりどおりに動いているのに、はじめのほんの少しのちがいがどんどん大きくなって、先が読めなくなる動きのことです。サイコロのような「でたらめ」とはちがい、同じ形からはなせば毎回まったく同じ動きをします。ちがうのは、ほんの少しでも形がずれたときです。二重振り子では、小さくゆらしたときはカオスにならず、大きくはなすとカオスになります。
- 天気予報とどう関係があるのですか?
- 大気の動きも、二重振り子と同じように初期値に敏感なカオスです。気象学者のエドワード・ローレンツは1960年代、天気の計算で途中の数字を少し丸めて入れ直しただけで、しばらく先の結果がまったくちがってしまうことに気づきました。「ブラジルで1匹のチョウがはばたくと、テキサスで竜巻が起こるか」という講演の題から「バタフライ効果」という言葉が広まりました。今の天気予報は、はじめの値を少しずつ変えた計算をたくさん行い(アンサンブル予報)、どのくらい当たりそうかも合わせて考えています。
- 計算は正しいのに、なぜばらばらになるのですか?
- コンピューターは数字を有限のけた(およそ16けた)で計算し、時間も細かく区切って少しずつ進めるので、1回ごとに、ごくわずかな誤差(丸めの誤差や、区切って進めるための誤差)が生まれます。ふつうの動きならこの誤差は小さいままですが、カオスでは小さな差がどんどん大きくなるので、やがて目に見える差になります。このシミュレーターの「時間をもどす」は、すべての速さの向きを逆にして、来た道を逆にたどらせるボタンです(物理の式は時間を逆にしても成り立つので、これでちゃんと巻き戻ります)。少しだけ動かしてからもどすと、はなした形にぴったり戻りますが、カオスな動きを長く続けてからもどすと、途中から元の道をたどれなくなります。これも同じ理由で、計算がまちがっているのではなく、カオスの性質そのものです。
- どうやって計算していますか?
- 棒は重さのない細い棒、おもりは先端の点とみなす、物理の教科書でよく使われる模型です。ラグランジュ方程式(エネルギーから運動方程式をつくる方法)で、1本・2本・3本をまとめて表せる一般の式を立て、毎回「質量行列」を使った連立方程式を解いて角加速度を求めています。それを4次のルンゲ・クッタ法で、1/1000秒(速く回るときはもっと細かく)ずつ進めます。摩擦がないときは全体のエネルギーが保たれることを、検算用のプログラムで確かめています。
- 授業や自由研究で使ってもいいですか?
- はい、ご自由にお使いください。インストール不要で、ブラウザだけで動きます。小学校では「ふりこの運動」の発展として、中学・高校ではエネルギーの保存(位置エネルギーと運動エネルギーのやりとり)の観察に、大学ではカオス・数値計算の導入に使えます。自由研究なら、たとえば「ずれを0.1°・0.001°・0.00001°にしたとき、分かれるまでの時間はどう変わるか」を何回か調べて表にすると、ずれを100分の1にしても、分かれる時間はそれほど延びないことが分かります。
- 1本のときのふりこは、ふつうのふりこと同じですか?
- はい。1本にすると、ふつうのふりこ(単振り子)になります。小さくゆらしたときの1往復の時間は 2π√(長さ÷重力の強さ) で、長さだけで決まります。ふりこのきまりをくわしく調べたいときは「ふりこ実験シミュレーター」もどうぞ。
- 3Dが表示されません。
- このページはWebGLという仕組みで3Dを描いています。古いブラウザや、WebGLが切ってある端末では、かんたんな平面の図で表示します。ブラウザを最新にするか、別の端末でお試しください。