塩素の単体は黄緑色の気体です。食塩にも塩素が含まれますが、そこでは塩化物イオンとして存在しています。「その元素を含むこと」と「その元素の単体であること」の違いがよく分かる元素です。
塩素と、食塩の塩素は同じ姿?
塩素の単体は、黄緑色の気体です。一方、食塩は白い固体で、その中の塩素は塩化物イオンとして存在しています。「塩素を含む」と聞いても、どんな物質なのかはそれだけでは決まりません。
単体・イオン・化合物を区別することは、化学を理解する大切な入口です。元素は原子の種類を表し、物質は原子がどんな組み合わせで集まっているかによって性質が変わります。
食塩は、単体とはちがう物質

ナトリウム塩素食塩
金属のナトリウム、気体の塩素、白い食塩。食塩はナトリウムと塩素を含む化合物で、単体とは性質がちがいます。結晶の中の、正と負の並び
塩化物イオンは、塩素原子より電子を一つ多く持っています。食塩では、正のナトリウムイオンと負の塩化物イオンが、規則正しい結晶を作ります。図では平面の一部を示していますが、実際は奥行きのある立体です。
食塩が水に溶けると、イオンは水中へ分かれて広がります。単体の塩素ガスに戻るわけではありません。何かが溶けたり見えなくなったりしたときも、どの粒子がどんな形で存在するのかを考えてみましょう。
食塩の結晶では、ナトリウムイオン(Na⁺)と塩化物イオン(Cl⁻)が規則正しく並びます。
結晶の一部を平面で示した模式図。実際は立体に広がります。単体を混ぜる実験の手順ではありません。
資料に基づく模式図名前が似ていても、物質を確かめる
塩素は、食塩のほかにも多くの物質に含まれます。水の処理や材料づくりにも、塩素を含むさまざまな化合物が使われます。それぞれの働きは、元素名だけでなく、その化合物の構造や性質によって決まります。
「元素が何か」と「その元素を含む物質が何か」を分けて読む習慣は、ほかの元素にも役立ちます。炭素を含むダイヤモンドと二酸化炭素、ケイ素を含む単体と石英にも、同じ考え方を使えます。