ナトリウムは、柔らかい銀色の金属です。単体は反応しやすい一方、食塩の中ではナトリウムイオンとして存在しています。同じ元素でも、単体と化合物では性質が違うことを考える入口になります。
金属なのに、食塩の中にある
ナトリウムの単体は、銀色で柔らかい金属です。空気や水と反応しやすいため、普段そのままの姿を見る機会はほとんどありません。それなのに、台所にある白い食塩にはナトリウムが含まれています。
食塩の中に、小さな金属の粒が混ざっているのでしょうか。そうではありません。食塩は、ナトリウムイオンと塩化物イオンからできた化合物です。元素としては同じナトリウムを含んでいても、単体の金属とは性質が違います。
食塩は、単体とはちがう物質

ナトリウム塩素食塩
金属のナトリウム、気体の塩素、白い食塩。食塩はナトリウムと塩素を含む化合物で、単体とは性質がちがいます。電子の数が変わると、イオンになる
原子が電子を失ったり受け取ったりして電気を帯びたものが、イオンです。ナトリウム原子が電子を一つ失うと、正の電気を帯びたナトリウムイオン(Na⁺)になります。塩素原子が電子を一つ受け取ると、負の電気を帯びた塩化物イオン(Cl⁻)になります。
食塩の結晶では、これらが規則正しく立体に並び、正と負の電気の引き合う力によってまとまっています。NaClという式はナトリウムと塩素の比が一対一であることを示し、結晶全体が二個だけの原子でできているという意味ではありません。
食塩の結晶では、ナトリウムイオン(Na⁺)と塩化物イオン(Cl⁻)が規則正しく並びます。
結晶の一部を平面で示した模式図。実際は立体に広がります。単体を混ぜる実験の手順ではありません。
資料に基づく模式図水に溶けても、なくなったわけではない
食塩を水に溶かすと、白い結晶は見えなくなります。結晶の中で並んでいたイオンが水中に分かれ、それぞれ水の分子に囲まれるためです。食塩に由来するナトリウムと塩素が、なくなったわけではありません。
この話では、「溶ける」と「融ける」を区別すると理解しやすくなります。水に分散するのが溶解、熱によって固体そのものが液体になるのが融解です。下の温度操作が示しているのは、食塩水ではなく、ナトリウムの単体の状態です。